二つ折り財布をつくる 前編
ちぺらです。今回からは依頼を受けた例の二つ折り財布を作っていきます。
前回の長財布同様、今回もこちらの型紙をパク……参考にして製作します。型紙を起こす能力がないとかそういうんではなく時短です。時短のためです。ただし、カード入れを4つから5つに増やしてほしいという要望があったためそこは少しいじっています。詳しくは後述します。
まずは革を切り出しましょう。推奨厚みは0.8mmとなっていますが、1mmのヌメ革を使用しています。これは実測したら0.9mmぐらいしかなかったため。
次に型紙の指示の通りに革の端を漉き、ヘリを返します。よく切れる革包丁が必要です。切れ味が命なので、ちょっとでも刃先が鈍ったなという手ごたえがあればすぐ革砥で研ぎなおしながら作業します。試してはないけどカッターナイフでは難しいと思います。
ちなみに型紙をいじったのはこの部分で、飛び出している「耳」の部分の高さを原本より2mmほど短くしています。ただポケットの深さを深くするのを忘れたので後でポケット下部を縫い付けるときに下端ギリギリで縫わないといけない羽目になりました。それでもカードの頭が1mmほど飛び出ることになってしまいましたが、カードを取り出しやすくなったということで大目に見ましょう。
続いてこのポケットパーツを接着してカードポケットを作っていきます。
重要なのは「耳」の部分の上下をぴったりとくっつけること。ここに隙間ができると完成品にそのまま隙間が残ってしまい、えらくみっともないことになります。ちなみに右端がぴろっとはみ出していますが、この部分は前の工程で薄く漉いているので後からまとめて裏に折り返せば目立たなくなる上にコバの保護にもなります。もうひとつ、ここに限った話ではありませんが接着剤は可能な限り薄く均一に塗ること。右側はヘリ返しして見えなくなるのであまり関係ありませんが、左側のコバはそのまま完成品として外に出るので、ここで接着剤が薄く塗れていないとコバをいくら磨いてもきれいになりません。ちゃんと光るコバを作れるかどうかの戦いはここからすでに始まっています。
全てヘリを返したらカードポケットは完成です。全体にニートフットオイルなどの保革油を塗っておきましょう。この革に限ったことではないですが、ヌメ革は流通段階ではほとんどオイルが入っていません。なので作りながらこまめにオイルアップしておいてやると革の保護にもなりますし、エイジングもキレイに進みます。
次は小銭入れを作っていきます。指示通りにコインケースのパーツを接着して縫い穴をあけ、バネホックのオスを打ちます。
蓋の角はコンパスやディバイダを使ってケガくと中心に穴が残ってしまうので、コインを使うとうまくいきます。ここまで曲率が大きいと一度では曲線を切れないので、直線で何回か刃を入れてから凸凹をサンドペーパーでならしてやるときれいに仕上がります。
折り癖をつけたパーツを接着してやると箱型になります。
蓋側の縫い目が貫通していないので、ひとつひとつ菱キリで貫通させてから縫っていきます。上の写真でもやってますが、フチにかかる糸は二重に巻き付けておくと丈夫になります。縫いあがったら畳んだ時の折り癖をつけます。作業が終わってから知ったんですが、折り目のあたりを湿らせてから折り癖をつけると皺もよらずきれいに曲がるそうです。そういうことは先に言ってほしかったかなあ……
折り癖をつけるとオス側のバネホックが蓋に当たるので、その辺をぐりぐり指で押して現物合わせでメス側のバネホックの取り付け位置をマーキングします。マーキングを頼りに穴をあけてバネホックを打ち込みますが、メス側は打ち棒の切り欠き部とホック内部の鋼線を一致させるようにして打ってください。コツがわからなければハギレで練習しておくのがいいと思います。ちなみにぼくはメス側を一個つぶしました。
念のため練習しといてよかった~ pic.twitter.com/RxGK63LjS9
— ちぺら (@cipher_413) 2020年4月23日
蓋を閉じてみて問題なく閉まるようなら小銭入れの完成です。次回へ続く!