0Vから出力できる実験用電源・基板発注とシャーシ加工

 ちぺらです。今回の記事は女性声優ネタではありません。

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 まず初めにお断りしておきますが、今回作る電源装置の回路は「いまからはじめる電子工作」(オーム社)3.3.4節の「高精度で0V~15Vまで可変できる安定化電源の設計製作」と同じものです。というより、本当はオリジナル要素入れようと思っていたのに無心でパターン引いてるうちに忘れたという方が正しいかもしれません。なので、詳しい解説をお望みの方は本を探していただくか、作者の方のサイトを参照してください。

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 実は、今回作る電源装置はだいぶ前から作ってみたかったもので、パーツを揃えたのは5年以上前になります。それ以来「製作時間が取れない」を言い訳にしてパーツを寝かせ続け、ちょうどまとまった時間が取れたのでやっと重い腰を上げたというわけです。

 今回は、プリント基板製造業者に基板製造を委託してみることにしました。なんで急にそんなことを思い立ったのかというと、以前からやってみたかったというのもありますが、Twitterのオタクが届いた基板を楽しそうに眺めていたというのがデカいです。布教の極意を見た気がしますね。

 まずは本の通りに回路図を書いてパターンを引きます。CADは前まではEAGLEを使っていましたが、EAGLEがAutodeskに魂を売ったせいでバカ高いサブスクと化してしまった(Fusion 360に取り込まれたらしい)ので、今回からおっかなびっくりKiCadを使っています。年5万はちょっと払えないよ……。実は、最初は可変電圧出力の他に5V/3.3V固定出力を設けようかと思っていたのですが、無心でパターンを引いてるうちにすっかり忘れてしまいました。というかこれを思い出したのが基板が届いた後という救いようのなさです。

 発注先としては、今回はSeeed StudioのFusionPCBを利用することにしました。国内基板メーカーは高い、かといって激安中華基板屋は品質やら納期に一抹の不安がある、ということで、今回は有名どころで様子を見る作戦です。FusionPCBの発注画面は(一部怪レい部分もありますが)ほぼ日本語化されていますし、英語にしても特に難しい表現があるわけでもないので、たいていの人なら迷わず発注できるでしょう。今回は10月14日に発注して19日に製造完了の連絡が来ました。ただし、輸送に手間取ったようで基板が家に届いたのは26日になってからだったので、トータルの納期はだいたい2週間弱ということになります。

 基板が届くの待つ間にシャーシを加工します。CADでパネルデザインを描き、コピー用紙に原寸大で印刷したものをシャーシに貼ると加工が楽です。

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加工中のフロントパネル

上でも触れたように、今回使うパーツの多くはン年前に買ったものばかりですが、このシャーシもご多聞に漏れず埃をかぶっていたもののひとつです。ところが当時のぼくは中々に目が高かったようで、なんとこのシャーシ、フロントとリアのパネルがビスで取り外しできる高級品です。おかげで加工がとても楽。よくやったぞ若かりし日のぼく。

 小さい穴は普通にドリルで開け、可変抵抗などが刺さるφ10程度まではテーパリーマで広げ、電圧計や電源スイッチの大穴・角穴はハンドニブラで食いちぎってヤスリで仕上げます。余談ですが愛用のホーザンのハンドニブラが製造終了したらしく、ぼくは悲しみに暮れています。

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穴あけまで終了したフロントパネル

 お次は文字入れです。かつては自作シャーシの文字入れといえばインスタントレタリングが定番でしたが、どこに行っても売ってないので何か別の方法を考える必要があります。まさかマジックペンで直書きするわけにもいかないし、何かうまい方法はないかと考えていたところ、少し前にTwitterで見たアクリル板で化粧パネルを作る方法を思い出したので、試してみることにしました。

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透明粘着シートに文字類を印刷して貼り付け

 まず、近所のホムセンをしばいて発掘した透明ラベルフィルムに文字を印刷し、これをパネルに貼り付けます。写真のように大穴の部分は切り取って内側へ折り返し、小穴は放射状に切り込みを入れて部品が通るように細工します。だいぶ気泡が入っていますが、上からアクリル板を重ねれば目立たなくなるはずなので、これで良しとしておきます。

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アクリルの化粧パネルを重ねたところ

化粧パネルを重ねるとこんな感じ。アルミむき出しと比べると、ぐっと高級感が出た気がします。知らんけど。なお、四隅のボルトが六角穴付ボルトなのは完全にカッコつけです。シャーシについてくるビスは全部普通のプラスネジなので、よく見るとハッタリ仕様なのがバレるしくみになっています。

 リアパネルも同様に加工してシャーシの加工は終了。内部の組み立ても書こうと思ったのですが、予想外に長くなったので二分割します。そのうち上げるので、読みたい人は待っててください。